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『スープ ~生まれ変わりの物語~』

現在、『スープ ~生まれ変わりの物語~』という映画が公開されています。
死後の世界と生まれ変わりのお話で、その中でもあの世で前世の記憶を消すというスープが映画の主題になっています。

生まれ変わりと前世の記憶を消す忘却のスープは、森田健氏による中国奥地に実在する生まれ変わりの村を調査をまとめた『生まれ変わりの村』(河出書房新社刊)に出てくる話をモチーフとしているそうです。(私はこの本は読んでおりません…)
あの世でこのスープを飲まなかった人間は、前世の記憶を持ったまま生まれ変わることが出来るとのことです。
映画は、主人公がこの世での自分の娘の記憶を消したくないと、スープを飲まずに生まれ変わる方法を探す物語です。

また、映画ではあの世はこの世と変わらない生活をしていると描かれていますが、これは中国の死生観を反映しているように思います。


ところで、仏教では六道輪廻(ろくどうりんね)といって、六つの世界(地獄・餓鬼・畜生・修羅・人間・天上)を生まれ変わり(輪廻)しているとされています。

また、仏教ではこの世は四苦・八苦の苦しみの世界であると説きます。
四苦(生苦・老苦・病苦・死苦)の生苦(しょうく)は生まれる苦しみ、老苦(ろうく)は老いる苦しみ、病苦(びょうく)は病気になる苦しみ、死苦(しく)は死ぬ苦しみです。
生苦を生きる苦しみであると説明する人もおりますが、本来は生まれる苦しみです。
母親の狭い産道を通って苦しみながら生まれてくる生苦によって、前世の記憶が無くなるといわれています。

仏教では、六道輪廻の苦しみの迷いの世界から脱して(解脱)、悟りを開いて仏となること(成仏)を目的としていますが、この世で修行をして悟りを開く道と、死後に阿弥陀仏の極楽浄土に往き生まれて(往生し)そこで悟りを開く道があると説きます。前者は聖道門(しょうどうもん)といい、後者を浄土門(じょうどもん)といいます。
浄土宗の教えは言うまでもなく浄土門の教えです。

極楽浄土では、阿弥陀仏のもとで修行をすることで、六神通(ろくじんづう)という神通力が得られるとされています。六神通には、自分の過去世(前世)を知る力もあります。

つまり、お念仏をして極楽浄土に往生すれば、忘却のスープを飲むのか飲まないかの選択を迫られることはないということです。
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映画「テルマエ・ロマエ」

皆さんは現在公開されている映画「テルマエ・ロマエ」はごぞんじでしょうか?

コミックを実写化した映画ですが、古代ローマと現代日本のお風呂をめぐる物語です。
題名の「テルマエ・ロマエ」とはラテン語で「ローマの風呂」という意味だそうです。
内容は、阿部寛さんが演じる古代ローマ人ルシウスと上戸彩さんが演じるヒロインの日本人女性・真実が、古代ローマと現代日本をワープして行ったり来たりするお話で、非常にコミカルで面白く仕上がっています。

日本人は世界の中でもお風呂好きで有名ですが、日本でのお風呂や銭湯の起源は実はお寺です。
仏教で沐浴の功徳を説き、入浴が奨励され、一般民衆へもお寺の浴堂を開放していったようです。
当初のお風呂は蒸し風呂で、後の時代になって浴槽にお湯を張り、そこに体を浸かるというスタイルになっていったようです。
仏教とお風呂についてはかつて法然院の住職をされていた橋本峰雄氏の『くらしのなかの仏教』(中公文庫)が触れていたように思います。また、最近では井原今朝雄氏の『史実 中世仏教』第1巻(興山舎)の第2章に「中世僧侶の清潔心と湯屋」として詳しく記載されています。

お風呂に日々入ることで、体の垢を落とすとともに、心の汚れも落としたいものです。

映画「ピラミッド 5000年の嘘」

世界の七不思議で唯一残っているのがエジプトのギザのピラミッドです。

ピラミッドが誰が何のために、どうやって作ったか?今までの定説の矛盾を描き、ピラミッドの謎説きに挑んだのが現在公開されている映画「ピラミッド 5000年の嘘」です。
いままで古代の文明に興味がなかった方も、この映画をみればその不思議に圧倒されると思います。

古代エジプトの黄金の秘宝「ツタンカーメン展」も、これから大阪・東京で開催されます。

皆さんも是非エジプトの歴史に触れてみてください。

映画「手塚治虫のブッダ―赤い砂漠よ!美しく―」

映画「手塚治虫のブッダ―赤い砂漠よ!美しく―」が5月28日から公開されています。
私も本日、観に行ってまいりました。
手塚治虫のコミック『ブッダ』が長編アニメとして映画化されたものです。
皆さまの中にもコミックでお読みになったことがある方も大勢いらっしゃると思いますが、手塚治虫の『ブッダ』は、釈尊の史実に基づく物語ではなく、釈尊伝をもとに独自のストーリーを展開しています。
今回の映画は、3部作の第1部にあたり、お釈迦さま(シッダールタ)の誕生から出家までが描かれていました。
2500年前のインドの身分制度などの文化や生活、戦争の場面が巧みに描かれています。手塚治虫は単に釈尊伝としてでなく、当時の時代背景をエンターテイメントとして描きたかったのだと思います。史実にはない登場人物が沢山出てきますが、それぞれの生きざまに引き込まれ、あっという間の二時間でした。
年代性別を問わず、お薦めできる映画です。
釈尊伝を知らない方も、お釈迦様を知る入門として楽しめると思います。手塚治虫のブッダをお楽しみいただけた方は、お釈迦様の伝記に興味をお持ちいただければ幸いです。
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清岸寺

Author:清岸寺
清岸寺・住職の弘之(お坊さん読みでコウシ)です。
学歴:大正大学人間学部仏教学科卒業、大正大学大学院修士課程修了。
趣味:読書、映画鑑賞、合気道(合気道歴20年)。

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